砂防学習村巡りバスツアーを開催
掲載日:2017年08月02日
急峻な北アルプスと活火山焼岳、奥飛騨はこれまで幾多の土砂災害に見舞われてきました。
昭和7年から始められた砂防事業は、奥飛騨や富山平野を自然災害から守る
効果を徐々に現し始めています。
砂防とは何か、普段立ち入れない、見られない社会インフラ、その現場を巡りながら、雄大な北アルプスの眺望と森林浴、冷涼な高原を体験しながら自然災害と戦う現場の歴史を覗いてみました。
3年目を迎えた「砂防学習村巡りバスツアー」を8月1日開催しました。
今年から高山市が「ジオパーク」の認定に取り組んでいることもあり、その関係も視察コースに取り入れ参加者は20名余りとなりました。
天候は曇りで午後からは雨の予報で心配です。午前8時30分に奥飛騨総合文化センターを出発し、最初は白谷砂防堰堤群です。活火山「アカンダナ山」の直下奥飛騨で最も崩壊の激しい所です。鋼製立体格子型の砂防ダムには、土石流による巨石が詰まっており、自然の猛威を見せつけられます。ガイドを務められた元神通川水系砂防事務所松本副所長の話にも熱がこもります。
その後標高1600メートル大棚に登り、焼岳は霧がかかっており500メートルばかり歩いて昭和7年始めて砂防事業が開始された岩坪谷1号~3号砂防ダム工事飯場跡を見学しました。その後岩坪谷砂防堰堤4号・5号を見学、8合目の火山ガス噴気孔も霧の中かすかに眺められました。この2年余り前から火山ガスの噴出量が少なくなった気がします。
その後平湯川上流法面工を福地温泉から眺め化石館を視察し、ここでは「飛騨山脈ジオパーク推進協議会」直井専門員より奥飛騨の地質の歴史を伺いました。
しのぶ砂防堰堤では砂防堰堤としては珍しいトンネルの中から水の流れ落ちる様子を見ました。
午前中の見学はこれで終了し近くの一重ヶ根防災センターで昼食を取り、昼休みを利用して「奥飛騨のジオ」の代表的なものを紹介しました。
午後の見学は、栃尾温泉洞谷土石流災害があった「洞谷流路工」、大正9年の土石流で集落全戸が流失した所に建設された「地獄平砂防堰堤」を視察し、2時より「奥飛騨さぼう塾」見学、その後雨が降ってきましたが明治22年と昭和28年に大崩壊を起こした「外ヶ谷砂防堰堤群」、昭和38年に土石流災害があり岐阜県により河川整備がなされましたが、その後度重なる被災で現在直轄による整備がなされている「新穂高渓流保全工」をバスの中から見学し日程を終えました。
参加者から「普段見ることのできない場所へ入り、地域の安全のために長い年月をかけ防災施設が整備されつつあることを知り、砂防事業の大切さをしみじみ感じた」とお聞きしました。
第2回目は8月8日です。